地デジがスタートするときに瀬戸周辺の住民に配られたパンフレット

栄から瀬戸へ

栄の再開発が進んでいますよね。中日ビルも建て替え工事が始まり、名古屋テレビ塔よりも高いビルが建設されるわけですが、それができるようになった理由の一つが、名古屋テレビ塔がもう、テレビ塔で無くなったから、電波を出していないからなんですよね。

現在の「テレビ塔」は愛知県瀬戸市にあります。テレビがアナログ放送からデジタルに切り替わるタイミングで、テレビ塔が名古屋市から瀬戸市に「交代」したわけですが、その交代の際に、瀬戸市の住民に配られたのが「地域のみなさまへ楽しい地上デジタル放送とは」というパンフレットでした。

アナログ放送は栄と東山

テレビ放送がアナログだった頃は、VHFという周波数を使っていたNHK、東海テレビ、CBCテレビ、名古屋テレビ(メ~テレ)の電波は栄の名古屋テレビ塔から、UHFという周波数を使っていた中京テレビとテレビ愛知の電波は昭和区の「東山タワー」から発射されていました。

テレビ放送がデジタル化されることになり、デジタルのテレビはUHFが使われることになりました。当初は、愛知県瀬戸市と岐阜県土岐市にまたがる三国山から試験電波が発射されたのですが、様々な事情から三国山は使われないことになりました。

計画が流れて…

次に白羽の矢が立ったのは東山でした。東山からデジタル放送の電波を発射すれば、デジタル放送はUHFなので、各家庭では、それまで中京テレビとテレビ愛知用に使っていたUHFアンテナを、そのままデジタルテレビに繋げば映るという形になるはずでした。

しかし、既存の東山タワーにはデジタル放送の設備を増設する余裕はなく、新タワーを建てる土地を確保することもできず、東山デジタルタワー計画は頓挫。そこで、東山からほど近い瀬戸市にデジタルタワーを建設することになったのですが…。

結構ぎりぎりだった

地上デジタル放送は、東京・名古屋・大阪で2003年12月に同時スタートと決まっていたので、三国、東山が流れて…、瀬戸に白羽の矢を立てた、瀬戸デジタルタワー計画となった時点でもう他に移るという選択肢はなかったことから、地域の人の理解を得て、建設をはじめなければならなかったわけです。

そこで配られたこのパンフレット。「デジタル放送の電波は大丈夫ですよ!」という必死のアピールが伝わってきます。実際のところ、地上デジタル放送の電波は、それまでのアナログ放送の10分の1という出力でしたので弱いわけですが、やっぱりそこは丁寧に説明を…ということでした。

アナログ放送への影響対策も

人体への影響は無くても、別の影響がありました。瀬戸からデジタルの電波が発射されることで、瀬戸市ではそれまでのアナログ放送への影響が出てしまうことがありました。アナログ放送は2011年7月に終了することが決まっていたのですが、それでもまだアナログを見続けるのが普通という状況でしたから…。

アナログ放送の映りが悪くなった家庭には、それぞれ無料で工事が行われたのでした。それは、本来のエリア外の三重テレビを見ていた家庭も対象で、デジタル放送の電波によって三重テレビが映りにくくなった場合も、ちゃんと対策が行われました。

瀬戸デジタルタワーの運用が始まってもうすぐ17年ですが、展望施設などがあるわけではないので、訪れたことがあるという方は少ないかもしれませんね。ただ、ふもとには「瀬戸市デジタルリサーチパークセンター」という市民向けの施設はあるので、市民には親しまれているようですね。

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