かつてはクレジットカードにも地域性が
金融ビッグバンによって銀行が再編され、名古屋から都市銀行の本店は消えてしまったわけですが、同時に再編されたのがクレジットカード会社です。かつてはクレジットカードにも地域性がありました。
そんなことを思い出させてくれたのが、1990年代の広告です。「CFカード」。セントラルファイナンスという会社のクレジットカードです。「便利さ2WAY」と書かれています。
何が「2WAY」なのかと思ったら、国内ではVISAカード、海外ではマスターカードとしてVISAカードとして両方で使えるという意味で、今ではそれが「特徴」とは言えないようなものです。
CFカードとミリオンカード
かつて、名古屋のクレジットカードといえば、東海銀行系の「ミリオンカード」とこの「セントラルファイナンス」でした。セントラルという名前はもちろん「中日本」から来ているものと思われます。
名古屋に本社を置く会社は、日本語では別の名前を名乗っていても、英語社名が「セントラル」であることはよくあります。その代表格はJR東海でしょうね。英語では「Tokai」でなはく「JR Central」です。
日本信販から独立した中部日本信販
さてこのセントラルファイナンスという会社ですが、元をたどると日本信販の名古屋支店を源流としています。クレジットカード会社の名古屋支店が別の会社として独立して、単独の会社となったのです。
1960(S35)年、その日本信販名古屋支店と名古屋イージーペイメント販売店協同組合が共同で、「中部日本信販」を設立。それが略されて「中日信販」に。なるほど、日本信販の中部の独立会社という存在であることが当時の名称からわかりますね。
それが1977(S52)年に「セントラルファイナンス」という会社になるのです。中部日本=中日の日本が消えて、中だけが残り、セントラルファイナンスとなったわけですね。
セントラルファイナンスのカードは略して「CFカード」。当時のイメージキャラクターは全国区の大人気司会者だった大橋巨泉さん。大橋巨泉さんが「持つべきものはやっぱりセントラルだね」とPRしていました。
名古屋っぽくないメガバンクの傘下に
全国区企業との提携もありましたが、JR東海や名鉄、中部電力、中京テレビなどと業務提携して地域色を高めます。しかし…。2007(H19)年に三井住友フィナンシャルグループ傘下に。
そして2009(H21)年、同じ三井住友傘下のクオークとともに、オーエムシーカードに吸収合併され、現在の「セディナ」となります。すっかり名古屋にとって、外様になってしまった…と思いますか?
名古屋に根付いたのは外様だった?
一方で。東海銀行系のミリオンカードはどうなったのかといいますと、東海銀行と一緒になった三和銀行系の三和カードサービスと合併し、UFJカードとなり、さらにそこに日本信販が加わりUFJニコスに。
そう、セントラルファイナンスの源流である日本信販は、UFJに飲み込まれたんですね。
さらにUFJニコスは、三菱銀行系のディーシーカードと一緒になり、三菱UFJニコスとなっています。それだけ一緒になれば、三菱UFJニコスは本社も本店も東京で当たり前。
ところが、セディナは本社を東京に置いているものの、本店は名古屋に置き続けたのです。「セントラル」であり続けているところがポイントです。セントラルファイナンスは、三井住友傘下になり外様となったかと思いきや、今も名古屋に根を下ろしていたのです。
しかし…。そんなセディナも7月1日に「SMBCファイナンスサービス株式会社」となり、名古屋の本店もなくなりました。
さようなら、セントラル。
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